日産自動車は2026年9月10日、「キャラバン」と、いすゞの「コモ」について、国土交通省に改善対策を届け出た。届出番号は720、開始日は9月11日。対象は、2022年3月24日から2025年9月16日までに製作された、4N16エンジン搭載車の計36,766台だ。
不具合の内容は、バキュームポンプのチェックバルブで、部品の材質が不適切なため、熱劣化などで破損することがある、というもの。破損した部品が負圧経路をふさぐと、バキュームポンプからブレーキ倍力装置への負圧の供給が行われず、通常より大きなブレーキ踏力が必要になり、想定よりも制動停止距離が長くなるおそれがある。改善措置は、全車両のバキュームポンプを対策品と交換することだ。
「リコール」ではなく「改善対策」の届出
この届出は、リコールではなく「改善対策」として国土交通省が公表している。一覧表の見出しは「改善対策届出一覧表」で、不具合の欄も、リコールの一覧表にある「基準不適合状態」ではなく、「不具合状態にあると認める構造、装置又は性能の状況及びその原因」と書かれている。届出の種類が違うので、検索や問い合わせのときは「改善対策」と「リコール」の両方で調べたほうがよい。
どんな症状が出るのか:ブレーキ倍力の負圧が来なくなる
| 順番 | 内容(届出一覧表) |
|---|---|
| 1 | バキュームポンプのチェックバルブの構成部品の材質が不適切で、熱劣化などにより破損することがある |
| 2 | 破損した部品が負圧の通り道をふさぐ |
| 3 | バキュームポンプからブレーキ倍力装置へ負圧が供給されない |
| 4 | 通常より大きなブレーキ踏力が必要になり、想定よりも制動停止距離が長くなるおそれがある |
国土交通省の「改善箇所説明図」では、エンジンに付いているバキュームポンプの上部のチェックバルブが、不具合の発生箇所として示されている。

届出一覧表の内容:不具合37件、物損事故4件
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 届出番号 | 720 |
| 届出日/開始日 | 令和8年9月10日/令和8年9月11日 |
| 届出者 | 日産自動車株式会社(問い合わせ:お客さま相談室 0120-315-232) |
| 不具合の部位 | 原動機(バキュームポンプ) |
| 不具合件数 | 37件 |
| 事故の有無 | 有(物損:4件) |
| 発見の動機 | 市場からの情報による |
| 改善措置 | 全車両、バキュームポンプを対策品と交換する |
| 使用者への周知 | ダイレクトメール等で通知。整備事業者等には日整連発行の機関誌に掲載。改善実施済車には、その旨を点検整備記録簿に記載する |
不具合37件を対象36,766台で割ると、約0.1%になる(この記事での計算)。物損事故は4件で、人身事故は一覧表に書かれていない。
対象車:キャラバン4型式とコモ1型式、4N16エンジン搭載車
| 車名 | 型式 | 車台番号の範囲 | 製作期間 | 台数 |
|---|---|---|---|---|
| ニッサン キャラバン | 3DF-VN2E26 | VN2E26-000015〜VN2E26-040537 | 令和4年3月24日〜令和7年9月5日 | 17,495台 |
| ニッサン キャラバン | 3DF-VN6E26 | VN6E26-000013〜VN6E26-035365 | 令和4年3月24日〜令和7年9月16日 | 16,847台 |
| ニッサン キャラバン | 3DF-CN4E26 | CN4E26-000007〜CN4E26-010027 | 令和4年4月5日〜令和7年8月29日 | 792台 |
| ニッサン キャラバン | 3DF-CN8E26 | CN8E26-000011〜CN8E26-008048 | 令和4年3月24日〜令和7年8月29日 | 1,442台 |
| いすゞ コモ | 3DF-JVN2E26 | VN2E26-800001〜VN2E26-801073 | 令和4年6月24日〜令和7年6月4日 | 190台 |
| 合計(計5型式・2車種) | 36,766台 | |||
キャラバンの4型式の合計は36,576台、コモが190台だ(この記事での合計)。一覧表の備考には、5型式すべてが「4N16エンジン搭載車」と書かれている。製作期間の全体は令和4年3月24日から令和7年9月16日まで。「車台番号の範囲には、対象とならない車両も含まれている場合がある」との注意事項もある。
自分の車が対象か:車台番号で確認する
- 車検証で、型式(3DF-VN2E26など)と車台番号を確認する。
- 日産のリコール等の対象車検索で、車台番号を入力して調べる。対象でも作業が済んでいる車は、「実施済」と表示される、と届出の説明図に書かれている。
- 対象で未実施なら、日産の販売会社に連絡して、バキュームポンプの交換を受ける。届出一覧表の問い合わせ先は、日産のお客さま相談室(0120-315-232)だ。
業務で使うことが多い車なので、事業者は、社用車や配送車の台帳と車台番号を突き合わせると漏れが少ない(この記事の補足)。届出では、使用者へはダイレクトメール等で通知するとされている。
よくある誤解:ブレーキが効かなくなる、という話ではない
届出の記述は、ブレーキ倍力装置に負圧が来なくなったとき、「通常より大きなブレーキ踏力が必要」になり、「制動停止距離が長くなるおそれ」がある、というものだ。ブレーキがまったく効かなくなる、とは書かれていない。ただし、ペダルが重い、いつもより止まりにくい、と感じたら、無理に走らず、販売会社に相談したほうがよい。
情報源
- 改善対策の届出について(ニッサン キャラバン 他)(国土交通省、令和8年9月10日)
- 改善対策届出一覧表(国土交通省、届出番号720)
- 改善箇所説明図(国土交通省)
- リコール情報(日産自動車)
- 画像: アイキャッチ=日産 キャラバン(E26)、記事内=同じく後ろ姿、撮影 TTTNIS/Wikimedia Commons/CC0(アイキャッチの元ページ)

