タイヤ交換後の増し締めと車輪脱落|大型車は5割以上がタイヤ脱着後1か月以内(国交省)

タイヤ交換後の増し締めと車輪脱落|大型車は5割以上がタイヤ脱着後1か月以内(国交省)

国土交通省は2026年10月1日、「冬用タイヤ交換時には確実な作業の実施をお願いします!」と発表した。令和7年度の大型車の車輪脱落事故は128件で、令和6年度の120件から8件増えた。大型車では5割以上の事故がタイヤ脱着作業後1か月以内に起きている。

国交省は関係団体と連携し、令和8年(2026年)10月から令和9年(2027年)2月にかけて「大型車の車輪脱落事故防止キャンペーン」を行う。ここで扱う統計は、すべてトラック・バスなどの大型車のものだ。乗用車の事故件数ではない。

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この記事では、国交省の報道発表と別紙1〜3で確認できたことを整理し、乗用車で自分のタイヤを替える人に向けて、トヨタと日産の公式資料に書かれている締め付けと交換後の確認を紹介する。

目次

大型車の車輪脱落は令和7年度に128件、前年度より8件増えた

報道発表は冒頭で、事故の増加を次のように伝えている。

令和7年度の大型車の車輪脱落事故発生件数は128件であり、令和6年度(120件)に比べ8件増加し、更なる対策が急務です。

別紙1によると、ここでいう大型車は「車両総重量8トン以上の自動車又は乗車定員30人以上の自動車」だ。車輪脱落事故は、ホイール・ボルトの折損またはホイール・ナットの脱落で車輪が外れた事故を指す。令和7年度は、車輪脱落に伴う人身事故が3件起き、3名が軽傷を負った。

過去10年の件数を見ると、令和4年度140件、令和5年度142件、令和6年度120件と推移し、令和7年度は128件だった。発生場所別では北海道が33件で最も多く、別紙1は「降雪地域で多く発生」とまとめている。

大型車では5割以上がタイヤ脱着後1か月以内、9割以上が左後輪で起きた

報道発表と別紙1から、大型車の令和7年度の発生状況を表にまとめる。

項目(大型車・令和7年度) 報道発表の記載 別紙1の数字
時期 約5割が11月から1月の冬季3ヶ月間に発生 128件のうち64件(50%)が11月〜1月
タイヤ脱着作業からの期間 5割以上がタイヤ脱着作業後1ヶ月以内に発生 1ヶ月以内が69件(約54%)
脱落した車輪の位置 9割以上が左後輪にて発生 約95%が左後輪
直前の作業の内容 ― 約85%がタイヤ交換等の作業実施後
作業をした人 ― 約56%が大型車の使用者による作業後

冬用タイヤへの付け替えが集中する時期と、事故が多い時期が重なっている。なお、左後輪に集中する理由は、今回の報道発表と別紙には書かれていない。別紙2のチラシは、日常の点検で「特に脱落が多い左後輪を中心に」ボルトやナットを点検するよう求めている。

岩場を越えるタイヤとホイール、足回りのアップ
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事故車両では、さび取り・給脂・締め付けの管理が不十分だった

報道発表は、多くの事故車両でタイヤ脱着作業時のさび取り清掃、各部位への潤滑剤の塗布、ホイール・ナットが円滑に回るかの点検などが不十分だったとしている。保守管理でも、増し締めと日常点検時のナットの緩み確認が確実に行われていなかった。これは令和4年2月に設置された「大型車の車輪脱落事故防止対策に係る調査・分析検討会」の調査・分析結果だ。

別紙1の内訳では、タイヤ脱着作業時の不備として、どの作業実施者でも締付力管理不備が最も多かった。作業状況を映像で記録していた一部の整備事業者の事例では、締付力管理不備の12件中6件で、ホイール・ナットの締め忘れが確認されている。作業と保守管理の不備の内訳(1件の事故に複数の不備もある)では、「増締未実施」が20%だった。

別紙3は、ボルトやナットに著しいさびがあると「規定の締め付けトルクで締め付けても、十分な締め付け力が得られなくなります」と説明している。トルクレンチで規定値に締めても、さびや汚れがあれば締まりきらないということだ。

国交省は2026年10月から2027年2月まで脱落防止キャンペーンを行う

キャンペーンの期間は令和8年10月から令和9年2月までだ。主な取り組みとして、報道発表は次の3つを挙げている。

  • 運送事業者、タイヤショップ、整備事業者等に、チラシ・ポスター・SNS・各種研修等で適切なタイヤ脱着作業と保守管理を周知する
  • 大型トラック運送事業者の経営者層に、社内関係者へ車輪脱落事故の危険性を伝えてもらう
  • 車輪脱落予兆検知装置の普及を促す

別紙2のチラシは、トルクレンチによる規定トルクでの締め付けとタイヤ交換後の増し締め、さびたナットの清掃・交換、ナットとワッシャーの隙間への給脂、1日1回の緩みの点検を呼びかけている。対象は大型車を使う事業者や作業者だ。

乗用車の締め付けトルクと交換後の確認は、取扱説明書で車種ごとに確かめる

乗用車のホイールナットの締め付けトルクは、国交省の資料には載っていない。メーカーの取扱説明書や公式FAQで、自分の車の値を確かめる必要がある。値は車種で違うため、ここでは例として2社の資料を紹介する。

トヨタは公式FAQで、自分でタイヤを替えるときはナットを取扱書記載の順序(対角線)で2〜3回に分けて締め付け、最後に取扱書記載の締め付けトルクで締め付けるよう案内している。シエンタの取扱説明書では、締め付けトルクは103N・m(1050kgf・cm)で、「ホイールの交換後は、すぐに」この力で締めるよう書かれている。

日産は公式FAQで、エクストレイル(T32)を例にスペアタイヤへの交換手順を示し、ホイールナット締め付けトルクを108N・m(11kg・m)としている。そのうえで、タイヤを取り付けたあとは必ず異常がないか確認し、しばらく走行したあと、ナットのゆるみや車体の振動などの異常がないか確認するよう求めている。

「増し締めは不要か」という疑問については、今回確認したトヨタと日産の資料に「不要」という記載はない。何km走ったら増し締めするかという具体的な距離も書かれていなかった。日産の資料にある「しばらく走行したあと」の確認が、交換後の点検の目安になる。

「ナットに油を塗る」は大型車の話。トヨタ・日産の資料は塗らないよう求めている

国交省の別紙2・3には、ホイールボルト・ナットのねじ部などにエンジンオイルなど指定の潤滑剤を薄く塗るよう書かれている。これらは大型トラック・バス向けのチラシで、ISO方式のホイールを例に説明している。別紙2自体も車載の取扱説明書などを参照するよう求めている。

一方、トヨタのシエンタの取扱説明書は「ねじ部にオイルやグリースを塗らない」と明記している。塗ると必要以上に締め付けられてボルトが破損したり、ナットがゆるんでホイールが落下したりするおそれがあるという。日産のFAQも、ナットを取り付けるときはナットやボルトにオイルやグリースなどを塗らないよう書いている。

大型車向けの手順を、乗用車にそのまま当てはめてはいけない。共通しているのは、ホイールの接触面の汚れをふき取ることだ。トヨタは汚れたまま取り付けると「走行中にナットがゆるみ、タイヤがはずれるおそれがあります」としている。

車の荷室の縁で点検整備の記録簿をめくる手元と作業手袋
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交換後の点検や締め付けが不安なら、販売店やガソリンスタンドに相談する

自分で替えたタイヤの締め付けに自信がないときは、プロに見てもらうのが確実だ。トヨタの公式FAQは、心配な人は最寄りのトヨタ販売店やガソリンスタンドなどで相談するよう案内している。タイヤ交換後に普段と違う音が出ているなど異常を感じた場合は、すぐにトヨタ販売店へ相談するよう書いている。

交換作業そのものについても、公式資料には次の注意がある。

  • ジャッキは取扱書記載の指定部位にかけ、ジャッキで支えた車の下に体を入れない(トヨタ)
  • 使っているホイール専用のナットを使い、ねじ部につぶれ・亀裂・錆などがあれば販売店で点検を受ける(トヨタ)
  • レンチを足で踏んで使わない(トヨタ・日産)。日産はパイプなどで必要以上に締め付けるとボルトが折れるおそれがあるとしている
  • 走行直後のホイールやブレーキまわりは高温なので触らない(トヨタ・日産)

交換したあとは、しばらく走ってからナットのゆるみや振動がないかを確かめる。異音や振動に気づいたら、走り続けずに販売店へ相談しよう。足まわりのトラブルを扱った記事は、トラブル・弱点対策のカテゴリにまとめている。

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