新型ヴェゼルが壊れやすいかどうかを、数字で断定できる公的な資料はない。ホンダも国土交通省も、車種別の故障率は公表していない。確かめられるのは、国に届け出られたリコール・改善対策と、ホンダが自主的に行うサービスキャンペーンの記録だ。
ここでいう新型ヴェゼルは、2021年4月23日に発売された2代目(型式がRV3〜RV6の「RV系」)を指す。国土交通省のリコール検索とホンダのリコール等情報で調べると、車両の型式でRV系が対象に入っているのはリコール1件、改善対策2件、サービスキャンペーン2件だった(2026年9月27日に確認)。リコールの対象はRV系では1台だけだ。
いちばん台数が多いのは、e:HEV(RV5・RV6)のブレーキ部品の改善対策で、同じ不具合について2回届け出られている。以下で1件ずつ内容を確かめる。
RV系が対象の届出と措置は5件ある
まず一覧にする。台数は、ホンダの各ページに載っているRV系の型式の行だけを書いた。
| 日付 | 区分・番号 | 部位 | RV系の型式と台数 |
|---|---|---|---|
| 2021年11月18日 | リコール 5061 | 前照灯(光軸) | 6AA-RV5 1台 |
| 2022年4月1日 | サービスキャンペーン | 安全運転支援システム(カメラの故障検知プログラム) | RV5 17,382台/RV6 4,530台/RV3 2,351台/RV4 524台 |
| 2023年3月31日 | 改善対策 661 | ブレーキオペレーティングシミュレーター | RV5 36,956台/RV6 8,932台 |
| 2023年9月8日 | サービスキャンペーン | ボディコントロールモジュール | RV5 30,876台/RV6 6,803台(パワーテールゲート装備車) |
| 2023年12月8日 | 改善対策 683 | ブレーキオペレーティングシミュレーター | RV5 36,914台/RV6 8,918台 |
リコールと改善対策の日付は届出日、サービスキャンペーンの日付は改修の開始日だ。ホンダの環境仕様によると、6AA-RV5(FF)と6AA-RV6(4WD)がe:HEV、5BA-RV4がガソリン車になっている(2025年10月現在)。発売当初のガソリン車の型式は、表のサービスキャンペーンに出てくる6BA-RV3・6BA-RV4だ。
燃料ポンプのリコールは先代で、新型は対象外
「ヴェゼル リコール」で調べると、燃料ポンプのリコールが目に入りやすい。国土交通省の検索では、2023年12月8日(届出番号5423)と2026年5月28日(届出番号5823)の燃料ポンプのリコールにヴェゼルが入っている。
ただし、どちらも対象の型式はRU1・RU2・RU3・RU4で、先代(初代)のヴェゼルだ。RV系の型式は入っていない。先代ではほかにも点火コイルや後写鏡などの届出があるが、新型の話と混ぜると「多い」と誤解しやすい。自分のヴェゼルがどちらの世代かは、車検証の型式か車台番号の頭(RUかRVか)で分かる。
また、届出の件数は故障の起きやすさを表す数字ではない。国土交通省の説明では、リコールは設計・製造過程に問題があって安全・環境基準に適合していない(または適合しなくなるおそれがある)車について、メーカーが自らの判断で国に届け出たうえで無料で回収・修理する制度だ。届出は対象になりうる車の範囲を示すもので、実際に何台が壊れたかを示すものではない。
国土交通省は、ユーザーから寄せられる不具合(故障やトラブル)の情報がリコールの迅速な実施に重要だとして、「自動車不具合情報ホットライン」への情報提供を呼びかけている。自分の車で気になる症状が続くときは、販売店への相談とあわせて使える窓口だ。

ブレーキ部品の改善対策は同じ不具合で2回届け出られた
台数が最も多いのが、ブレーキオペレーティングシミュレーターの改善対策だ。フィットやフリードなどと合わせた届出で、新型(RV系)ではe:HEVのRV5・RV6(令和3年4月8日〜令和4年3月1日製作)が入っている。先代のハイブリッド車RU3・RU4も対象だ。ホンダは不具合の内容を次のように説明している。
製造時に使用する組付け油が圧力センサー内に浸入することがあります(ホンダ 改善対策届出番号683)
その結果、使っているうちにセンサー内の抵抗部が腐食して出力値が異常になり、警告灯が点灯してフェールセーフが働き、ブレーキペダルを踏む力が大きく必要になるおそれがある、という内容だ。
最初の届出(661、2023年3月31日)は、圧力センサーの出力値を点検して、基準を外れるものだけ部品を交換する措置だった。その後、新たな原因が分かったとして、2023年12月8日に改善内容を変えて再度届け出たのが683だ。683では部品を対策品と交換する。ただし部品の供給に時間がかかるため、開始日は「部品準備でき次第」とされ、希望者には点検が必要になったことをマルチインフォメーションディスプレイで知らせる自己診断ソフトウェアを追加する。
2024年6月13日には、修理用に出荷したブレーキオペレーティングシミュレーターを対象にした改善対策(届出番号693)も届け出られた。683の対象範囲の選定が漏れていたためで、部品表の備考には「VEZEL」と書かれたものもある。ホンダは、この交換修理用部品が組み付けられた車両は製造番号を点検し、該当する場合は同様の改善を行うとしている。修理でこの部品に交換したことがある車は、販売店で確かめておきたい。
ホンダは、販売店の休店日に症状が出た場合、Honda Total Care会員は緊急サポートセンターへ、一般の人はJAFや保険会社のロードサービスへ連絡するよう案内している。
リコール5061の対象は1台だけ
RV系でリコールとして届け出られたのは5061の1件だ。N-BOX Customなど5車種の届出で、前照灯または前部霧灯の光軸が保安基準を満たしていないおそれがある、というもの。車両製作工場での光軸検査の管理が不適切だったことが原因とされている。
ヴェゼルでは車台番号RV5-1010976の1台(令和3年6月29日製作)だけが対象で、届出全体でも12台だ。改善措置は光軸の点検と、必要な場合の調整になる。
サービスキャンペーン2件はプログラムの書き換え
サービスキャンペーンは、リコール・改善対策とは別の枠で、ホンダが対象車の点検・修理を無料で行う措置だ。ホンダのサービスキャンペーン一覧では、RV系が対象のものは2件ある。
1件目(2022年4月1日開始)は、安全運転支援システム「Honda SENSING」の不具合だ。フロントワイドビューカメラの故障検知プログラムが不適切で、カメラの通信異常を誤って判定し、警告灯や警告表示が点灯してシステムが作動しないおそれがある。令和3年4月8日〜8月20日製作のRV3〜RV6、計24,787台が対象で、プログラムを書き換える。
2件目(2023年9月8日開始)は、パワーテールゲート装備車のボディコントロールモジュールの不具合だ。操作のタイミングによって省電力モードに移らず、待機電流が流れ続けるため、長く駐車したままにするとバッテリーが上がって始動できなくなるおそれがある。令和3年7月2日〜令和4年8月11日製作のRV5・RV6、計37,679台が対象で、プログラムの書き換えとバッテリーの点検(異常があれば新品に交換)を行う。

自分のヴェゼルが対象かは車台番号で調べる
対象かどうかは、ホンダの「リコール等情報対象車両・対象製品の検索」で、車検証に書かれた車台番号を入れると確かめられる。ホンダは、対象範囲には改修の対象ではない車両も含まれているとしている。製作期間の範囲に入っていても、対象とは限らない。
電話で聞くなら、ホンダの「Honda市場措置専用窓口」(フリーダイヤル0120-280524、9:00〜17:00、年末年始12/31〜1/3を除く)が案内されている。中古で買ったヴェゼルは、前の持ち主のときに改修が済んでいるかも含めて確かめておきたい。
新車保証は一般保証3年・特別保証5年
ホンダのメーカー保証は、一般保証が新車登録日から3年間、または3年以内でも走行距離6万キロで終わる。特別保証は新車登録日から5年間、または5年以内でも走行距離10万キロで終わる。保証書に記載されている期間と条件に従って無料で修理される。
リコール・改善対策・サービスキャンペーンの改修は、この保証期間とは別に無料で受けられる。保証が切れた車でも、対象であれば販売店に予約して改修を受ければよい。
ほかの車のトラブル対策は、トラブル・弱点対策のカテゴリにまとめている。
情報源
- 国土交通省「自動車のリコール制度について」
- 国土交通省 自動車不具合情報ホットライン「リコール情報検索」(車名:ホンダ、2026年9月27日検索)
- ホンダ「N-BOX Customなど5車種のリコール」(リコール届出番号5061、令和3年11月18日届出)
- ホンダ「フィットなど13車種の改善対策(ブレーキオペレーティングシミュレーター)」(改善対策届出番号661、令和5年3月31日届出)
- ホンダ「フィットなど14車種の改善対策(ブレーキオペレーティングシミュレーター)」(改善対策届出番号683、令和5年12月8日届出)
- ホンダ「FREEDなど交換修理用部品の改善対策(ブレーキオペレーティングシミュレーター)」(改善対策届出番号693、令和6年6月13日届出)
- ホンダ「VEZELのサービスキャンペーン(安全運転支援システム)」(改修の開始日 令和4年4月1日)
- ホンダ「VEZELのサービスキャンペーン(ボディコントロールモジュール)」(改修の開始日 令和5年9月8日)
- ホンダ「四輪車の情報/リコール・改善対策一覧」
- ホンダ「四輪車の情報/サービスキャンペーン一覧」
- ホンダ「リコール等情報対象車両・対象製品の検索」
- ホンダ「メーカー保証」
- ホンダ「VEZEL 環境仕様」(PDF、2025年10月現在)
- ホンダ ニュースリリース「新型『VEZEL』を発売」2021年4月22日
- ホンダ ニュースリリース「『VEZEL』をマイナーモデルチェンジし発売」2024年4月25日

