「BMWの整備士はBMWに乗らない」という話がネットにはある。しかし、整備士がどんな車に乗っているかを調べた公的な統計や調査は見当たらない。この言い方を事実として扱う根拠はない。
知りたいのは「BMWは維持費が高いのか、よく壊れるのか」だろう。この記事では、BMWの日本法人ビー・エム・ダブリュー株式会社の公式サイトと国土交通省の資料で確かめられることだけを書く。
先に要点を言うと、BMWの新車には新車登録後3年間の新車保証と、オイル交換などを含むメンテナンス・パッケージ「BMWサービス・インクルーシブ」が標準で付く。4年目以降は有料の延長保証で修理の備えを延ばせる。リコールの記録は国土交通省の検索で誰でも見られる。
「整備士はBMWに乗らない」を裏付ける資料はない
この記事の旧版は、部品代や工賃が国産車の1.5〜2倍、年間の維持費は20〜40万円程度などと書いていた。どれも出典がなく、取材に基づくものでもなかったため削除した。
維持費や修理費は、車種・年式・走行距離・使い方で大きく変わる。「BMWだから一律にいくら」とは言えない。確かめられるのは、保証やメンテナンスで何が無料になり、何が自己負担になるかだ。
新車の最初の3年間は修理保証とメンテナンスが標準で付く
BMWは、新車の全モデルに「BMW CARE」の基本プランを無償で標準付帯している。
| 内容 | 期間 | 主な中身 |
|---|---|---|
| BMW新車保証 | 新車登録後3年間 | エンジン、トランスミッション、エアコン、エアバッグ、ナビ、パワーウインドーなどの不具合を無償修理 |
| BMWサービス・インクルーシブ | 新車購入から3年間 | エンジンオイル・フィルター交換、マイクロフィルター交換、ブレーキ液交換、スパークプラグ交換、ワイパーブレード交換、エアクリーナーエレメント交換、BMW指定点検、法定1年定期点検、AdBlueの補充など |
| BMWロードサービス | 登録後3年以内 | 24時間365日の電話対応、路上の応急処置、レッカー移動など |
| タイヤ&キー補償 | 初度登録日から3年間 | パンクしたタイヤ1本の修理・交換、キーの破損・盗難・紛失時の交換を各1回 |
ただし、無料にならないものもある。新車保証の対象は標準装備の機能的な部品で、消耗部品・油脂類・ゴム部品などの経年劣化や摩耗は対象外だ。サービス・インクルーシブも、法定1年定期点検で見つかった整備のうちパッケージに含まれない項目は自己負担になる。項目にあるのは法定1年定期点検で、車検(継続検査)は入っていない。

4年目以降は延長保証に入るかで修理の負担が変わる
3年の新車保証が切れたあとに備える仕組みが「BMW新車延長保証プログラム」だ。新車保証の終了後も、2年間または1年間、保証対象箇所の不具合を走行距離にかかわらず無償で修理する。加入できるのは新車購入時(初度登録から3カ月以内)で、BMW正規ディーラーが販売した車に限られる。
2年延長プランの人は、さらに「再延長プラン」に入れる。保証期間は20カ月(1年8カ月)で、申し込み時の走行距離が80,000km以内であること、2回目の車検をBMW正規ディーラーで受けることが条件だ。積算走行距離が100,000kmに達した時点で保証は終わる。
延長保証の修理費には限度額があり、累計で車両本体価格(税込、オプション品を除く)の80%までだ。また、修理保証を使う条件として、正規ディーラーで初回車検を受けること、法令とBMWが指定する点検整備を受けること、定期交換部品と油脂類を指定どおり交換することなどが挙げられている。延長保証を使うなら、点検を飛ばさないことが前提だ。
メンテナンスも、サービス・インクルーシブの有料の延長パッケージで最長7年間もしくは10万kmまで延ばせる。車齢6年目以降の車には、オイル交換などを割引価格で受けられる「BMWバリュー・サービス」がある。
保証期間を過ぎた修理や車検は自己負担だ。BMWは、点検費用は車の状態によって異なるとして、正規ディーラーのサービス工場に見積もりを依頼するよう案内している。正規ディーラーで購入・取り付けたBMW純正部品には、最大24か月の保証が付く。
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ディーラー以外の工場に頼むときは、BMWの整備に必要な設備があるかも確かめたい。BMWは、整備には専用の診断・プログラミングシステムや専用工具が必要な場合があるとし、BMW専用の外部故障診断装置は「自動車特定整備事業者」の認証を持たない事業者には提供しないとしている。
オイル交換の時期は「何km」ではなく車が知らせる
「オイル交換は何kmごと」と一律に決まっているわけではない。BMWは、1982年に一定のメインテナンス間隔を廃止し、車両の状態に応じたメインテナンスに切り替えたと説明している。今の車は「コンディション・ベースド・サービス(CBS)」が、走行距離・経過時間・走行パターンなどから点検の時期を計算する。
コントロール・ディスプレイには、エンジンオイル、ブレーキパッド、ブレーキフルード、車両点検、法定点検などについて、作業が必要になるまでの距離と時間が表示される。My BMWアプリでも確認できる。
法定点検は国産車と同じだ。国土交通省によると、マイカーのユーザーは1年ごとに29項目、2年ごとに計60項目の定期点検整備を行う必要がある。点検整備記録簿は車に備え付け、1年点検の対象車は2年間保存する。
リコールの届出は国交省の検索で誰でも見られる
車種別・年式別の故障率を、BMWや国土交通省が公表している資料は見当たらない。公的に確かめられるのは、国に届け出られたリコール・改善対策の記録だ。リコールは、設計・製作過程に原因があって保安基準に適合しない(またはそのおそれがある)車を、メーカーが国に届け出たうえで無料で回収・修理する制度で、届出の台数は「対象になりうる車の範囲」であって壊れた台数ではない。
国土交通省の「リコール情報検索」で車名「BMW」を選ぶと、二輪のBMW Motorradや、MINI・アルピナの型式を含む届出も合わせて472件が表示される(届出日は1994年1月20日〜2026年8月26日、2026年10月1日に確認)。2024年以降の届出から、対象台数が多い順に5件を挙げる。
| 届出日 | 番号 | 部位と内容 | 主な車種 | 台数 |
|---|---|---|---|---|
| 2025年11月12日 | 外-4101 | スタータの防水性が不十分で、始動不能や火災のおそれ | 3シリーズ、5シリーズ、X3など(2016年10月〜2020年12月輸入) | 40,464台 |
| 2025年2月7日 | 外-3860 | 統合ブレーキユニットの接触不良で、ブレーキに通常より強い踏力が要るおそれ | X1、X5、7シリーズ、i5など(2022年6月〜2024年9月輸入) | 30,503台 |
| 2025年3月10日 | 外-3931 | 荷室の固定レールのボルトが後ろから衝突されたときに折れ、後席の乗員が負傷するおそれ | X3(2017年7月〜2024年6月輸入) | 24,386台 |
| 2026年8月26日 | 外-4224 | スタータの始動用リレーの耐久性が不十分で、始動不能や火災のおそれ | 3シリーズ、4シリーズ、X3など(2020年7月〜2025年11月輸入) | 24,189台 |
| 2026年2月25日 | 外-4155 | スタータの始動用リレーの耐久性が不十分で、始動不能や火災のおそれ | 3シリーズ、4シリーズ、X3など(2020年7月〜2024年2月輸入) | 23,650台 |
上の5件のうち3件がスタータの届出で、措置はいずれもスタータを対策品に交換することだ。検索の収録範囲(2026年8月31日までの届出)より後の2026年9月17日にも、プラグインハイブリッド車のスタータのリコール(外-4234)が届け出られている。内容はBMW 330e・530e・740eのスタータのリコールの記事にまとめた。

自分のBMWが対象かは車台番号で調べる
国土交通省の検索は、車名・型式・届出日から届出の内容を探す仕組みで、車台番号では検索できない。個別の車台番号で調べたい場合は、メーカーや販売会社に問い合わせるよう書かれている。輸入車は車台番号ではなくシリアル番号で届け出られている場合があり、書式が車検証と違うときは車体のプレートなどと照合するよう案内している。
BMWの公式サイトには、車台番号で調べる「リコール等検索」がある。電話ではBMWカスタマー・インタラクション・センターのリコール専用ダイアル(0120-954-018、平日9:00〜19:00、土日祝9:00〜18:00)が案内されている。リコールの修理は無料で、国土交通省は安全確保の観点から必ず受けるよう呼びかけている。
中古で買うなら保証の残りと認定中古車の保証を確かめる
中古のBMWを買うときは、新車保証が残っているか、延長保証に入れるかを先に確かめたい。BMWの認定中古車には、車両によって最長4年間の走行距離無制限保証が用意されている。納車前の点検と、最長6カ月のメインテナンス・フリー期間もある。ただし、初度登録から8年以上(登録時)の車は延長保証に加入できない。
BMWは、新車延長保証の再延長プランについて、所有・使用名義人が変わると継承できないとしている。前のオーナーが延長保証に入っていても、買った人がそのまま使えるとは限らないので、購入前に販売店に確認しておきたい。中古のBMWを選ぶときの確認点は、中古のBMW購入で失敗しないための注意点、輸入車の中古全般は輸入車の中古はやめたほうがいい?の記事にまとめている。
ほかの車のトラブル対策は、トラブル・弱点対策のカテゴリにまとめている。

